ケリーが「発想する会社!」の中で紹介しているプロセス。著書の中でこのステップを「熱狂へのステップ」と呼んでいる。実際にはTim Brownなどが更に細分化した定義などもしており、これは一番簡略化されたコンセプトのようなもの。
理解
環境の制約を理解すること。クライアント、技術、市場、ユーザーなどの制約をまずは集め、理解する。
観察
現実の人を観察し、ターゲットプロジェクトのなぜを見出す。人の思考や行動、隠されたニーズを観察して察知する。
視覚化
観察から得られた知見を元に、ユーザーの利用状況やコンセプトを図式化する。ブレストの中でポンチ絵として書き出されたり、プロトタイプや模型の制作も行う。またユーザーの使用状況をストーリーボード化したりそれをビデオで表現したりもする。
評価とブラッシュアップ
短時間にプロト制作と評価のサイクルを回す。初期プロトはそんなにいいものではないという立場から始める。プロトは広く人々に意見を請う。
実現
製品化に向けてのステップ。実はここが更に長いステップになるが、ケリー著書ではひとまとめになっている。実開発ステップ。
人間中心設計機構が提唱するISO 13407 (JIS Z 8530)インタラクティブシステムの人間中心設計プロセスに準拠したものづくり設計プロセス。ISOという規格準拠なので多くの企業が自主採用している。HCDのプロセスは最終系まで行ったあとにスタートまで戻るという図式が実業務には危険なサイクルに見えるが、実際の導入は個々のステップをプロセスで活用することが重要であり、その点は柔軟と思う。いわゆるIA(インフォメーションアーキテクチャー)と呼ばれる人々や評価業務者の拠り所となるケースが見受けられる。
HCD必要性の特定
ターゲットとなる事案が人間中心設計を導入する必要性があるかを見極める。使用に関して問題があるかなども観点。
利用状況の把握と明示
HCD必要性ありと特定されたらユーザーの要求を把握するために調査を行います。
ユーザーと組織の要求事項の明示
各ステークホルダーの要求事項を把握し、仕様に反映する。UX的なフローを仮説定義してシステムの振る舞いを決定していく。
要求事項に対する設計の評価
デザイン/設計案の妥当性を評価する。各種いろいろな手法を使い評価を行う。この時に問題点が出たら、その打開の為にまた1に戻る。
<参考サイト>
Nielsen 10 Usability Heuristics
コトのためのデザイン手法~HCD(人間中心設計)手法の紹介Vol.3~
スタンフォード大学のデザインスクール「d.school(Institute of Design at Stanford)」が公開したデザイン思考5つのステップ。大学の研究という意味では詳細に定義されていいるが、プロト確定までで実開発は含まれない。Palo Altoにあるd.schoolは周りにスタートアップのオフィスが点在しており、インターンシップでの企業連携と独立精神を育む人材育成の土壌が完成している。
「意味あるイノベーションを起こすには、ユーザーを理解し、彼らの生活に関心を持つ必要がある」。潜在的なニーズを掘り起こすために5Wを調査する。
ユーザーと彼らの生活環境における振る舞いを見ます。インタビューや観察を行う。ポイントとして、発言と行動の間にある矛盾、彼らが考案した回避行動策に注目すると気づきが見えてくる。
会話に近いインタビュー。質問事項はあるが、そこから外れる会話を期待する。常になぜと問いかけ深い意味を探る。
どのように作業するかを見せてもらう。身体的な段階を動作してもらい、なぜそうするかを問いかける。声に出して作業してもらう。ターゲットの場所で行ってもらう。
ターゲットの写真を中心に情報の関係性を貼り出していく。経験のジャーニーマップを構築していく。関連する印象などの情報も全て明らかにして整理する。ポストイットを有効に使う。
<参考>
btrax デザイン思考入門 Part 2 – Empathize 理解と共感
DスクールではEmpathy mapにまとめていく。書式はバリュープロポジションデザインもしくはビジネスモデル・ジェネレーションより利用できる。
デザイン領域に一貫性を持たせるために焦点の絞込を行う。特定のユーザーのインサイトやニーズ、も しくは架空のキャラクターへのフォーカスを導く問題定義文を作ることがゴールとされている。
具体的なユーザー像を選定する。「アメリカに来る日本人の旅行客で英語は日常会話程度なら話せる。5日ほど滞在してレンタカーでサンノゼからサンディエゴを往復する」など。
表層をみて短絡的に解決策を決めつけず、根底の深いところまで検討して見極める。
マーケットを見たときに、今回のアイディアを取り巻く市場が10年、50年スパンでどのように変化するかを列挙して現在から未来の脅威を確認する。
DSchool講義ではまだこの段階でもEmpathy Mapで現状把握をおこなっているようだ。ちなみにこのフェーズの最終目標は問題定義文を作成すること。その文章は以下になる。「(ユーザー)は(ニーズ)を必要としている。なぜなら(驚くべきインサイト)だから。」
アイディア創出ステップ。問題定義からアイディアを得るステップ。 主にブレストの中でアイディアを大量に抽出する過程をとる。 昨今だとビジネスモデル・キャンバスを利用して抽出したアイディアを元に各象限を埋めていく手法が流行った。 基本的なステップとしては、ターゲットニーズ、トレンド、市場規模を意識しながら大量にアイディアを抽出し、その後ポイントを見ながら削っていく。 btraxは8つのポイントでのアイディア磨きを提唱している。
成果物がある場合、プロトタイプを作成する。色々なパターンを沢山作ってよい。目的はスピードと改善。答えをすぐに得るために作成する。 d.schoolは校内にラボがあって、プロトタイプしまくれる環境がある。 必要な機材が揃っているので充実したプロト制作に邁進できる。
プロトタイプを被験者に体験してもらうことで問題点をあぶり出し、解決策を導く。またプロトを利用するユーザーを観察することでインサイトを得ることもある。また着眼点や問題点の設定の間違いに気づかせてくれることもあります。評価する際は、ペルソナを設定し、そのペルソナに沿った被験者を用意する。またタスク(シナリオ)を設定し、ゴールに向けて快適に体験出来るかを観察する。 これらステップを経て、製品化へと進む。評価する着眼点は以下が挙げられます。
物理/技術的
UIなど使いやすさやUI機能
UXとしての要件
<参考>
btrax デザイン思考入門 Part 6 – Test 効果的なフィードバックを出す秘訣
btrax やっぱりよくわからない デザイン思考ってなに?
一般社団法人デザイン思考研究所
ナレジックスで田村が再定義したステップ。実際の情報デザイン系業務の現状に照らし合わせて自分好みに再定義してますが、ベーシックは元祖とあまり変わりません。デザイン思考系の共通した問題の一つですが、このプロセスを全てワンプロジェクトでこなすことは正直ないです。合意形成のためのイベントという意味合いと、コンセプトを肉付けしていくプロセスと考えています。実際は、5.Designと6.BuildUpは更に長い工程が待ち受けています。これら全体を通してPMBOKに代表されるプロジェクトマネジメントが重要になってきます。
Purpse
要求、目標、目的、必要な仕様、制限、テクノロジー、ステークホルダー、マーケット。これらを把握・共有する。改善モデルか新規発想か。どちらもスタートの仮説やターゲット案などがあります。それらの情報や思いを汲み取るためのプロセス。
事情聴取。ステークホルダー関係と予算、仮説、既存技術。
多数意見の整理、発想のためのイベント、仮説の検討、脅威の発掘。
上記同様に課題を顕在化する。テクノロジードリブン系は目的がおろそかになるのが通例なので、いきなりここから始まる事が多い。これをやるとクライアントの反発が大きいケースもある。
タ仮説の要件を5W1Hやステートメントシートにまとめる。目的探索に近い初期段階。
仮説がある場合、検証する際にアイディアシートを使用してビジネス全体を俯瞰する。まだ初期段階。
Observation
基本は作業者、ユーザーを観察。同意を得られない場合が多いい。
事情聴取。ステークホルダー関係と予算、仮説、既存技術。
観察が難しい場合はターゲットユーザー像に対してヒアリングを行い、一連の行動を明らかにする。
改善モデルのときはすでに旧型がある。主観により検証をクイックに行い問題点をあぶり出す。数名でやれると尚良い。
上記の評価に使用するリスト。Web系は項目が充実している。UXはテンプレが無いのが今後の課題。
社内システムなどの改善のときは、ワークフローを聴取する。UML図などでまとめることもある。
Wire Flaming
Purpose、Observationで得られた情報を元にコンセプトを可視化する。主に紙面上での定義としてまとめていく。オーバークオリティは求めない。中身がない紙芝居でもOK。プロダクトなら木や樹脂で作成できる。3Dプリンターも利用できる。
UXを図式化する。4コマ漫画やポンチ絵でサービスの流れを図式化する。スライドショーで作成したアニメーションプレゼンをムービーとして代用するケースもある。
画面系はワイヤーフレームを作成する。微妙だが案件によりすでにUIの設計業務になる。デジタルはAdobe xDやスマホプロトなどに直結させる。RarePadのような紙でも作成できる。
コンセプトとしてサービスの全体、モデルなどを企画書としてまとめる。要求仕様が役割を兼務することもある。
Test Flight
ワイヤーフレームを元にプロトタイプを作成し評価する。これらは利用者テストやヒューリスティックな調査、内部プレゼンテーションなどに利用される。フィードバックによりワイヤーフレームの改良を行う。実質的に設計業務などに突入している。サービスなどはストーリーボードに基づきメンバーでアクト(演じて)してみる。アクトすると意外な気付きが発見できる。
ワイヤーフレームをスマホアプリなどに取り込み、実際の操作ができる状態にする。
上記同様だが、ここがゴールになる案件もある。要求度により紙芝居か、実働モデルか、クオリティは様々。
プロトを使いクイックに主観評価を行う。Observationの段階のタスクやチェックリストは再度使用できる。
Design
最終的なワイヤーフレームやプロトタイプを元にデザインワークを行う。基本的にこの段階からワイヤーへは不可逆(にしたい)。
実はワイヤーで完結している事例が多い。しかし詳細に定義する作業は続行するので、全ページに渡りUI仕様を決めていく。
ワイヤーの段階で大まかな方向性が出ている。もしくはIAを検討した後にデザイン作業となるので、仕様検討段階で確定しているかもしれない。ツリー構成や情報設計に関して網羅。
紙やポスター、サイネージの場合もある。ムービーを制作する場合もある。
画面系のデザインはまずコンセプトにもとづいた提案、代表画面のテンプレートデザイン、アイコン、オブジェクトのデザイン、後に全データを網羅。
BuildUp
デザインワークと連携して開発を行う。Web、サーバー連動型のシステム、各種OSのアプリケーション、プロダクト、印刷物、ムービーなど。実現したいカタチに合わせてコーディネートする。ここからが長い開発業務になるので、また別に工程が走ります。
開発に向けて搭載したい機能や仕組みを定義する。カテゴリ別の箇条書きで構わない。 普通はクライアントが用意。
開発が進む際のタスクを洗い出す。工程表にそのままなる。
各種OSに向けた開発、デザインコンテンツの制作
Co-Working/Networking
直接の工程とは違う次元になるが、場作りや作業環境、関係する研究団体やパートナーとのリソースはプロジェクト進行に重要なファクターです。共同作業の場所を確保すること、自分たちではできない調査や人員を確保するためには必要なつながりを作る必要があります。
<参考>
IDEOのオフィス
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